色もグラスもちがう、5つのビール(イメージ)
※イメージ(AIで作成)

世界には、たくさんの「ビールの種類」があります

ビールには、色も香りも味わいもちがう、たくさんの種類(スタイル)があります。生まれた土地の水や麦、気候、そして人々の好みが、それぞれのビールを育ててきました。

たくさんの種類を分ける大もとは、どんな酵母で、どのように発酵させるかです。

しお澤とお取引のある飲食店には、さまざまな種類のビールをお届けしています。お出かけの際に、お店でビールを選ぶ参考にしてみてください。

3つの発酵のしかた

酵母と発酵のしかたで分かれる、3つのビール
  • ラガー下面発酵酵母発酵が終わると底に沈む温度およそ5〜12℃(低め)味わいすっきり、キレがある代表ピルスナー、ヘレス、ボック
  • エール上面発酵酵母発酵の途中で液面に浮く温度およそ15〜25℃(高め)味わい果物のような華やかな香り代表ペールエール、スタウト、ヴァイツェン
  • 自然発酵ランビックなど酵母加えない。空気中の酵母や細菌で期間1〜2年、またはそれ以上味わい酸味がある代表ランビック、グーズ、クリーク

日本でおなじみのビールのほとんどは、下面発酵のラガー(ピルスナーの仲間)です。

下面発酵(ラガー)

発酵が終わると、酵母がタンクの底に沈むタイプです。およそ5〜12℃の低い温度で、時間をかけて発酵・熟成させます。すっきりとしてキレのある味わいになります。

下面発酵の酵母は15世紀後半の南ドイツで使われはじめ、1553年にはバイエルンで、ビールを下面発酵で、秋から春のあいだだけ造るよう決められました。これがラガービールの始まりとされます。19世紀に冷凍機が生まれて、夏でもラガーを造れるようになりました。

日本でおなじみのビールのほとんどは、この下面発酵のビールです。

上面発酵(エール)

発酵の途中で、酵母が液面に浮かび上がるタイプです。およそ15〜25℃の高めの温度で発酵させます。果物のような華やかな香りが生まれ、味わいも個性ゆたかになります。イギリスやベルギー、ドイツの一部で多く造られています。

自然発酵

酵母を加えず、空気中にいる酵母や細菌の力で、1〜2年、またはそれより長く発酵させるビールです。ベルギーのブリュッセルのあたりで造られる「ランビック」が代表で、酸味のある味わいが特徴です。

ドイツの「ビール純粋令」

1516年、バイエルンで「ビールは大麦(麦芽)・ホップ・水だけで造る」という決まりが出されました。酵母は、そのはたらきが分かってから加えられました。今もドイツでは、この考え方を受けついだ法律があり、ビールは原則として水・麦芽・ホップ・酵母だけで造ります(上面発酵のビールは小麦など大麦以外の麦芽も使えるなど、いくつかの例外があります)。

色と苦みで見る、ビールの種類上から、おおよそ色の淡いものから濃いものへ
  • ベルジャン・ホワイトエール
  • ヴァイツェンエール
  • ランビック自然発酵
  • ヘレスラガー
  • ケルシュエール
  • ピルスナーラガー
  • ペールエールエール
  • IPAエール
  • メルツェンラガー
  • アルトエール
  • ボック(濃い色)ラガー
  • ドゥンケルラガー
  • シュバルツラガー
  • ポーターエール
  • スタウトエール

色と苦みは、アメリカのビールの審査の基準(BJCP 2021年版・Brewers Association 2026年版)にある範囲を目安にしたものです。同じ種類でも、造り手によってちがいます。

ラガーの仲間

種類生まれたところどんなビールか
ピルスナーチェコのプルゼニ(ピルゼン)、1842年淡い金色で、ホップの苦みと香りが立つ、すっきりしたビール。世界でいちばん広まった種類で、日本でおなじみのビールの多くもこの仲間
ヘレスドイツのミュンヘン、1894年淡い黄金色。苦みはひかえめで、麦芽のやさしい味わい
ドゥンケルドイツのミュンヘン、1830年代濃い銅色からこげ茶色。麦芽の香ばしさ
シュバルツドイツのテューリンゲン・ザクセンなど濃い茶色の、ドイツの黒ビール。見た目より軽やか
メルツェンドイツのバイエルン琥珀がかったオレンジ色から赤銅色。ミュンヘンのお祭り「オクトーバーフェスト」とゆかりのあるビール
ボックドイツのアインベック生まれ、バイエルンで発展コクがあり、アルコール分も6〜7%台と高め。さらに強い「ドッペルボック」は、ミュンヘンの修道士が造ったのが始まり

ピルスナーは、プルゼニのミネラルの少ないやわらかな水、チェコの大麦、ザーツ(ジャテツ)のホップから生まれました。造り手のピルスナー・ウルケルは、これを世界で初めての黄金色のラガーとしています。このあと、金色のラガーは世界中に広まりました。

エールの仲間

種類生まれたところどんなビールか
ペールエールイギリス金色から銅色。麦芽とホップの釣り合いがとれた、エールの代表
IPAイギリス、1700年代後半「インディア・ペールエール」の略。インドへ船で運ぶために発展した、ホップの苦みと香りが強いエール
ポーターイギリスのロンドン、1700年代のはじめ(1722年ともいわれる)こげ茶色。焦がした麦芽の香ばしさ
スタウトイギリス・アイルランド黒に近い色で、コーヒーのような焙煎の香り。ポーターから生まれた
ヴァイツェンドイツのバイエルン小麦の麦芽を50%以上使った、にごりのある淡い色のビール。バナナのような香りで、苦みはごく弱い
ケルシュドイツのケルン淡い黄色の、すっきりしたエール。ケルンとそのまわりでしか造れない
アルトドイツのデュッセルドルフ琥珀色から銅色。ドイツ語で「古い」の意味。ラガーより古い、上面発酵の造り方を受けついだビール
ベルジャン・ホワイトベルギー小麦を使った、白くにごった淡い色のビール
セゾンベルギーのワロン地方農場で働く人たちのために造られてきた、さわやかなエール

ケルシュの決まり

ケルンのビールの造り手たちは、1986年に「ケルシュ・コンヴェンション」という約束をむすび、ケルシュはケルンとそのまわりで造るものと決めました。ヨーロッパ連合(EU)でも、地理的表示として守られています。

ギネスとスタウト

アイルランドのダブリンでは、アーサー・ギネスが1759年に醸造所を借りて、ビール造りを始めました。1770年代にはポーターを造りはじめ、1799年にはポーターだけを造るようになりました。スタウトは、このポーターから生まれた、より濃く力強いビールです。

ベルギーの修道院と、ビールのグラス(イメージ)
※イメージ(AIで作成)

修道院のビール「トラピスト」

ベルギーなどの修道院では、昔からビールが造られてきました。「トラピスト」は、ビールの種類の名前ではなく、造り手の決まりです。国際トラピスト協会の「Authentic Trappist Product」のしるしを付けられるのは、次の3つを守ったものだけです。

  1. 修道院の中か、すぐ近くで造る
  2. 修道士・修道女の目の届くところで造る
  3. 利益は、修道院の暮らしや、修道会どうしの助け合い、慈善などに使う

修道院で生まれた種類には、赤みのある濃い琥珀色の「ドゥベル」(1922年)や、金色で力強い「トリプル」(1931年)などがあります。

「Authentic Trappist Product」の3つの決まり国際トラピスト協会
  • 1どこで修道院の中か、すぐ近くで造る
  • 2だれが修道士・修道女の目の届くところで造る
  • 3利益は修道院の暮らしや、助け合い・慈善などに使う

自然発酵のビール「ランビック」

ランビックは、ブリュッセルのまわりで、古い木の樽の中で自然に発酵させるビールです。原料の麦に小麦を30%以上使います。

若いランビックと熟成したランビックを合わせて瓶の中でもう一度発酵させた「グーズ」や、さくらんぼを漬けた「クリーク」などがあります。伝統的な造り方を守った「オード・グーズ(Oude Geuze)」「オード・クリーク(Oude Kriek)」などの名前は、ヨーロッパ連合(EU)で「伝統的特産品」として守られています。

フルーツビール

果物を使ったビールです。果物の色や香りが重なり、元になるビールによって味わいはさまざまです。日本でも、2018年(平成30年)4月から、果物や香辛料などを合わせて麦芽の重さの5%まで使ったものが「ビール」と名のれるようになりました(それより多いものは「発泡酒」になります)。

日本の表示で見る言葉

日本のビールの表示の決まり(公正競争規約)では、次の言葉の使い方が決められています。

  • ラガービール:貯蔵の工程で熟成させたビール
  • 生ビール・ドラフトビール:熱による処理をしていないビール
  • 黒ビール・ブラックビール:濃い色の麦芽を使った、色の濃いビール
  • スタウト:濃い色の麦芽を使い、色が濃く、香りや味わいがとくに強いビール
このページの出典(参考にした資料 29件)

このページは、国や公的機関、業界団体、造り手、研究機関などの資料で確かめたことをもとに、店の言葉でまとめています。リンク先は2026年10月に確かめたもので、その後に移ったり変わったりしていることがあります。外国語の資料もあります。

  1. ビール酒造組合 brewers.or.jp
  2. サッポロビール sapporobeer.jp
  3. アサヒビール asahibeer.co.jp
  4. アサヒビール asahibeer.co.jp
  5. キリン kirin.co.jp
  6. サントリー suntory.co.jp
  7. キリン kirin.co.jp
  8. 国税庁 東京国税局 酒類セミナー nta.go.jp
  9. 国税庁 東京国税局「お酒のABC ビール」 nta.go.jp
  10. サントリー suntory.co.jp
  11. ピルスナー・ウルケル公式 pilsnerurquell.com
  12. キリン kirin.co.jp
  13. ドイツ醸造者連盟 brauer-bund.de
  14. ドイツ醸造者連盟 brauer-bund.de
  15. ドイツ醸造者連盟 brauer-bund.de
  16. EU 規則No 2325/97 legislation.gov.uk
  17. BJCP 2021年版 bjcp.org
  18. BJCP 2021年版 bjcp.org
  19. BJCP 2021年版 bjcp.org
  20. BJCP 2021年版 bjcp.org
  21. BJCP 2021年版 PDF bjcp.org
  22. Brewers Association「Beer Style Guidelines」2026年版 cdn.brewersassociation.org
  23. BJCP dev.bjcp.org
  24. ギネス・ストアハウス公式 guinness-storehouse.com
  25. 国際トラピスト協会 trappist.be
  26. HORAL horal.be
  27. EU 規則2017/2216 eur-lex.europa.eu
  28. 国税庁 nta.go.jp
  29. ビールの表示に関する公正競争規約 第4条 jfftc.org

20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。
妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は適量を。