ビールのグラスと、ホップと大麦(イメージ)
※イメージ(AIで作成)

麦とホップから生まれる、世界でいちばん身近なお酒

ビールは、麦芽(ばくが)とホップと水を原料に、酵母で発酵させて造るお酒です。紀元前3000年ごろのメソポタミアや古代エジプトにも、ビール造りの跡が残っています。

ビールは、しお澤の「お取り扱い商品一覧」には載せていませんが、店頭にいくつか並べています。日本酒やワインと同じように、ビールにも長い歴史と、土地ごとのたくさんの種類があります。造り方や種類を知ると、いつもの一杯が少しちがって見えてきます。ひとつの教養として、気軽に楽しんでいただけたらうれしいです。

また、しお澤とお取引のある飲食店には、さまざまな種類のビールをお届けしています。お出かけになった先でビールを選ぶときの、ちょっとした参考にもしていただけたらうれしいです。

ビールの4つの原料

ビールの4つの原料と、そのはたらき
  • 麦芽(モルト)ばくが酵母の栄養色と香ばしさ泡のもと
  • ホップ雌株の花(毬花・きゅうか)苦み香り泡持ち日持ち澄んだ色
  • 水ビールの90%以上硬水・軟水で味わいが変わる
  • 酵母小さな生きもの糖をアルコールと炭酸ガスに

麦芽(モルト)

大麦を水にひたして芽を出させ、乾かしたものです。芽を出すときに、でんぷんを糖に変える力(酵素)が生まれます。麦芽は、酵母の栄養になるだけでなく、ビールの色や香ばしさ、泡のもとにもなります。ビールには、粒が大きくそろった「二条大麦」がよく使われます。

麦芽を高い温度で焼くと色が濃くなり、香ばしい、焦がしたような香りがつきます。黒ビールの色は、この濃い色の麦芽から来ています。

ホップ

つる性の植物で、ビールには雌(めす)の株の花(毬花・きゅうか)を使います。ホップは、ビールに苦みと香りをつけるほか、泡持ちをよくし、雑菌が増えるのをおさえて日持ちをよくし、にごりを取り除く役目もします。

ホップがビールに使われるようになる前は、いろいろな香草や薬草を合わせた「グルート」で香りをつけていました。ホップが広まったのは中世のヨーロッパで、16世紀ごろには南ドイツでもホップが主流になりました。

水

ビールの90%以上は水です。水にふくまれるミネラルの量(硬水・軟水)は、ビールの味わいに関わります。チェコのプルゼニ(ピルゼン)の、ミネラルのとても少ない軟水からは、色が淡く苦みのきいたビールが生まれました。

酵母

麦汁の糖をアルコールと炭酸ガスに変える、小さな生きものです。ビールの酵母には、大きく分けて「上面発酵酵母」と「下面発酵酵母」があり、どちらを使うかでビールの性格が大きく変わります(くわしくは ビールの種類)。

副原料

日本の法律では、麦・米・とうもろこし・でんぷんなどの「副原料」を、決められた量の中で使うことができます。2018年(平成30年)4月からは、果物やコリアンダーなどの香りづけの原料も、麦芽の重さの5%までなら使えるようになりました。

仕込み釜にホップを加える醸造所(イメージ)
※イメージ(AIで作成)

ビールができるまで

ビールができるまで

麦汁をつくる

  1. 製麦せいばく大麦を発芽させて乾かし、麦芽にする
  2. 仕込み(糖化)砕いた麦芽にお湯を加え、でんぷんを糖に
  3. 麦汁ろ過麦のからを除き、甘い麦汁を取る
  4. 煮沸しゃふつ煮立ててホップを加え、苦みと香りをつける
  5. 冷却麦汁を冷やす

発酵させる

  1. 主発酵酵母が糖をアルコールと炭酸ガスに変える
  2. 熟成(後発酵)若い香りを落ち着かせ、炭酸ガスを溶かす

仕上げる

  1. ろ過・詰める瓶・缶・樽に詰める(熱処理するものは加熱)

「生ビール」とは

熱による処理(パストリゼーション)をしていないビールだけが、「生ビール」「ドラフトビール」と名のれます。

  1. 製麦(せいばく):大麦を発芽させて乾かし、麦芽にします。
  2. 仕込み(糖化):砕いた麦芽にお湯を加え、麦芽の力ででんぷんを糖に変えます。
  3. 麦汁ろ過:麦のからなどを取りのぞき、甘い麦汁(ばくじゅう)を取ります。
  4. 煮沸(しゃふつ):麦汁を煮立て、ホップを加えます。ここでホップの苦みが生まれ、香りがつきます。
  5. 冷却:麦汁を冷やします。
  6. 発酵(主発酵):酵母を加えて発酵させ、アルコールと炭酸ガスを生みます。
  7. 熟成(後発酵):低い温度で寝かせて、若い香りを落ち着かせ、炭酸ガスを溶けこませます。
  8. ろ過・詰める:酵母などをこして、瓶・缶・樽に詰めます(熱処理をするビールは、ここで加熱します)。

「生ビール」とは

日本のビールの表示の決まり(公正競争規約)では、「生ビール」「ドラフトビール」と書けるのは、熱による処理(パストリゼーション)をしていないビールだけです。瓶や缶に書くときは、「熱処理していない」ことも書きそえます。

日本の法律での「ビール」と「発泡酒」

麦芽の割合で分かれる「ビール」と「発泡酒」日本の酒税法の品目(アルコール分20度未満)
  • ビール麦芽ホップと水をのぞく原料の50%以上副原料決められたものだけ。果物・香りづけは麦芽の5%まで
  • 発泡酒麦芽50%未満、または決まり以外の原料ふくむものいわゆる新ジャンル(2023年10月から)
  • その他の発泡性酒類お酒ビール・発泡酒以外の泡の出るお酒度数11度未満(チューハイなど)

日本の酒税法では、ビールを次のように決めています(アルコール分20度未満)。

  • 麦芽・ホップ・水を原料にして発酵させたもの
  • 麦芽・ホップ・水と、決められた副原料を使ったもので、ホップと水をのぞいた原料のうち、麦芽の割合が50%以上のもの(果物や香りづけの原料は、麦芽の重さの5%まで)
  • 上のビールに、ホップや決められた副原料を加えて、さらに発酵させたもの

麦芽の割合が50%に届かないものや、決められた副原料以外のものを使ったものは「発泡酒」になります。いわゆる「新ジャンル(第3のビール)」も、2023年(令和5年)10月から品目が「発泡酒」になりました。

品目どんなお酒か
ビール麦芽の割合が50%以上で、法律で決められた原料だけで造ったもの
発泡酒麦芽や麦、またはホップなどを使った、泡の出るお酒で、ビールの決まりにあてはまらないもの(新ジャンルもふくむ)
その他の発泡性酒類ビール・発泡酒以外で泡の出る、アルコール分11度未満のお酒(チューハイなど)

酒税は2026年10月にそろいました

ビール・発泡酒・新ジャンルは、麦芽の割合などによって酒税の額がちがっていましたが、2020年(令和2年)10月から3回に分けて見直され、2026年(令和8年)10月に、1キロリットルあたり155,000円(350ミリリットルあたり54.25円)にそろいました。

ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税がそろうまで
2020年10月1回目の見直し2023年10月2回目。新ジャンルが「発泡酒」に2026年10月1キロリットル155,000円にそろう(350mlで54.25円)

日本のビールのあゆみ

日本のビールのあゆみ
  1. 1850年ごろ川本幸民がビールを試しに造る江戸時代の終わり、蘭方医が試醸したとされる
  2. 1869年横浜にジャパン・ヨコハマ・ブルワリー日本で初めてのビール醸造所とされる
  3. 1870年スプリング・バレー・ブルワリーコープランドが横浜・山手に開く
  4. 1888年「キリンビール」が売り出されるドイツ風のビール
  5. 1994年最低の製造量が年60キロリットルに各地に小さな醸造所。「地ビール」の始まり
  6. 1996年南信州ビールが誕生長野県で第1号のクラフトビールの造り手
  7. 2018年ビールの決まりが広がる麦芽50%以上、果物や香りづけも使えるように
  8. 2026年10月酒税がそろうビール・発泡酒・新ジャンルが同じ額に
  • 1850年ごろ 蘭方医(らんぽうい)の川本幸民(かわもと こうみん)が、ビールを試しに造ったとされる
  • 1869年(明治2年) 横浜に「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」ができる(日本で初めてのビール醸造所とされる)
  • 1870年(明治3年) ウィリアム・コープランドが、横浜の山手に醸造所「スプリング・バレー・ブルワリー」を開く。日本で初めて、ビールを産業として造り続けた醸造所で、1875年には、日本で初めてとされるビアガーデンも開かれていた
  • 1885年(明治18年) スプリング・バレー・ブルワリーの跡地に、ジャパン・ブルワリー・カンパニーができる
  • 1888年(明治21年) ジャパン・ブルワリー・カンパニーが造ったドイツ風のビール「キリンビール」が売り出される
  • 明治20年ごろ(1887年ごろ) 大きな資本によるビール工場が、相次いでできる
  • 1994年(平成6年) 酒税法が改正され、ビールを造る免許に必要な最低の製造量が、年2,000キロリットルから60キロリットルに下がる。全国に小さな醸造所が生まれ、「地ビール」と呼ばれるように
  • 2018年(平成30年) ビールの決まりが広がり、果物や香りづけの原料も使えるように
  • 2026年(令和8年)10月 ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税がそろう

ビールの製造場は、2003年(平成15年)に337場、2020年(令和2年)には514場になりました。今では、小さな醸造所で造るビールは「クラフトビール」とも呼ばれています。

伊那谷のビール

中央アルプスを望む谷と、ビールのグラス(イメージ)
※イメージ(AIで作成)

伊那谷にも、ビールの造り手があります。駒ヶ根市で1995年(平成7年)に第三セクターとして設立された南信州ビールは、長野県で第1号のクラフトビールの造り手として、1996年(平成8年)に誕生したとされます。中央アルプスの伏流水で、ビールを仕込んでいます。

ビールをおいしく楽しむ

おいしい温度

よく冷えたビールは、夏は4〜6℃、冬は6〜8℃ほどがおいしいとされています。香りを楽しむタイプのビールは、8〜10℃ほどと、少し高めの温度をすすめる造り手もあります。

おいしい温度の目安
  • よく冷えたビール(夏)4〜6℃
  • よく冷えたビール(冬)6〜8℃
  • 香りを楽しむタイプ(例)8〜10℃

香りを楽しむタイプの温度は、造り手がすすめる一つの例です。

グラスと注ぎ方

  • グラスは、ほかの食器とは別の、グラス用のスポンジで洗います。料理の油やにおいが残ると、泡立ちが悪くなります。
  • 洗ったら、ふきんで拭かずに、自然に乾かすのがいちばんです。
  • グラスは冷蔵庫で冷やしておくとよいとされます(冷凍庫で冷やしすぎると、泡が立ちにくくなります)。
  • 「3度注ぎ」:はじめはゆっくり、途中から勢いよく注ぎ、ビールと泡が半分ずつくらいになったら注ぎ足し、泡を1センチほど盛り上げます。泡が落ち着くまで待ってから、最後に泡を押し上げるように静かに注ぎます。

保存のしかた

ビールは、光と高い温度が苦手です。日の当たらない、温度の変わりにくい涼しい場所に置きましょう。蛍光灯の光にも、気をつけたほうがよいとされています。夏の車の中や、ゆれが続く場所も避けます。

ノンアルコールのビール

日本の法律では、お酒(酒類)は「アルコール分1度以上の飲みもの」です。ノンアルコールのビールテイスト飲料は、業界の自主基準ではアルコール分0.00%のもので、お酒にはあたりません(20歳以上の方に向けた商品です)。

このページの出典(参考にした資料 26件)

このページは、国や公的機関、業界団体、造り手、研究機関などの資料で確かめたことをもとに、店の言葉でまとめています。リンク先は2026年10月に確かめたもので、その後に移ったり変わったりしていることがあります。外国語の資料もあります。

  1. キリン歴史ミュージアム museum.kirinholdings.com
  2. キリン歴史ミュージアム museum.kirinholdings.com
  3. キリン歴史ミュージアム 年表 museum.kirinholdings.com
  4. サントリー お客様センター suntory.co.jp
  5. キリン kirin.co.jp
  6. キリン kirin.co.jp
  7. サッポロビール お客様センター sapporobeer.jp
  8. 国税庁 nta.go.jp
  9. 飲酒に関する連絡協議会 brewers.or.jp
  10. サッポロビール blog.sapporobeer.jp
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  12. キリン歴史ミュージアム 年表 museum.kirinholdings.com
  13. 国税庁 東京国税局「お酒のABC ビール」 nta.go.jp
  14. 国税庁 東京国税局 酒類セミナー原料 nta.go.jp
  15. 国税庁「酒のしおり」令和6年 nta.go.jp
  16. キリンホールディングス「原料」 kirinholdings.com
  17. ビールの表示に関する公正競争規約 第4条 jfftc.org
  18. 国税庁「ビールの定義改正に関するQ&A」 nta.go.jp
  19. 国税庁 モデルテキスト nta.go.jp
  20. e-Gov 法令検索 laws.e-gov.go.jp
  21. 国税庁 nta.go.jp
  22. 財務省 mof.go.jp
  23. 横浜市観光協会 welcome.city.yokohama.jp
  24. 国税庁 税務大学校 論叢 nta.go.jp
  25. 本坊酒造 沿革 hombo.co.jp
  26. 長野県公式観光サイト go-nagano.net

20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。
妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は適量を。