麦焼酎は、大麦から造る本格焼酎です

麦焼酎は、大麦を主な原料にした焼酎です。

麦ならではの繊細な香りと、まろやかな甘みが持ち味です。

すっきりとして切れのよい飲み口のものが多く、最近は、麦の豊かな香りと濃い味わいを楽しめるものも増えています。

長崎県の壱岐(いき)⁠や大分県をはじめ、全国の各地で造られています。

麦焼酎のはじまりは、壱岐

麦焼酎発祥の地

長崎県の壱岐は、「麦焼酎発祥の地」⁠といわれます。

壱岐の焼酎の起こりには、15世紀ごろ、蒸留の技術が朝鮮半島から対馬や壱岐を経て伝わった、という有力な説があります。

はじめは、農家が自分たちで飲むために造っていたと伝えられています。

江戸時代には、壱岐でも焼酎が造られるようになっていました。

米こうじと大麦、1対2

壱岐の焼酎は、昔から、米こうじ1に対して大麦2の割合で仕込まれてきました。

米こうじの甘く厚みのある味わいと、麦のさわやかな香りが、壱岐の焼酎の特徴です。

大分の麦焼酎 麦100%と減圧蒸留

大分県は、麦焼酎の生産がとくに多い県です。

昭和47年(1972年)、大分で、すぐれた麦こうじが生まれました。

こうじも麦で造る、「麦100%」⁠の麦焼酎です。

さらに大分では、もろみを気圧を下げて蒸留する「減圧蒸留」⁠で、やわらかくすっきりした麦焼酎を造る技をいち早く取り入れました。

こうした麦焼酎は全国で人気を集め、焼酎ブームのさきがけになりました。

こうじは、米か麦か

麦焼酎のこうじには、米こうじと麦こうじがあります。

こうじ味わい例
米こうじしっかりとした味わい。米こうじの甘さと厚みが出る壱岐の焼酎(GI「壱岐」⁠は米こうじだけ)
麦こうじすっきりとした味わい大分県の麦焼酎に多い

麦焼酎ができるまで

  1. こうじ造り:米または麦を蒸して、こうじ菌を育てます(約2日)。
  2. 一次もろみ:こうじに水と酵母を加えて、酵母を増やします(約30℃で3〜8日)。
  3. 二次もろみ:一次もろみに、蒸した大麦と水を加えて発酵させます(約2週間)。
  4. 蒸留:単式蒸留機で蒸留します。
  5. 貯蔵・割水:タンクなどで寝かせてまろやかにし、原酒を合わせたり水を加えたりして味をととのえます。

減圧蒸留と常圧蒸留

麦焼酎は、蒸留のしかたで味わいが大きく変わります。

蒸留しくみ味わい
減圧蒸留蒸留機の中の空気を抜いて気圧を下げ、40〜50℃ほどの低い温度で蒸留する。1970年代から広まった軽やかでなめらか。雑味が少なく、すっきり
常圧蒸留ふつうの気圧のまま、90〜100℃ほどに温めて蒸留する。昔ながらの方法麦の香ばしさが増し、味のバランスがよい

今の麦焼酎は、減圧蒸留などで造った、軽い味わいのものが多くなっています。

減圧蒸留の軽い焼酎が生まれたことで、本格焼酎は九州のほかの地域でも、広く飲まれるようになりました。

常圧蒸留で麦の香りを豊かに残したものや、樫(かし)⁠の樽で寝かせたものもあります(くわしくは 焼酎の基礎 へ)。

原料の大麦

麦焼酎の原料には、でんぷんの多い「二条大麦(にじょうおおむぎ)」⁠が使われます。

九州では、「ニシノホシ」「煌二条(きらりにじょう)」など、焼酎に向いた大麦の品種づくりが進められてきました。

GI「壱岐」

「壱岐」⁠は、壱岐の麦焼酎の地理的表示(GI)⁠です(1995年指定)。

次の決まりを守って造ったものだけが「壱岐」⁠を名乗れます。

  • 穀類は大麦だけ、こうじは米こうじだけ
  • こうじと大麦の重さの割合は、おおむね1対2
  • 水は、壱岐市で採った水だけ
  • 発酵・蒸留・貯蔵・瓶詰めは壱岐市の中で行い、単式蒸留機で蒸留する

「壱岐」⁠の麦焼酎は、麦のさわやかな香りと、米こうじの甘く厚みのある味わい、そして切れのよい飲み口が特徴とされています。

切れのよさは、玄武岩の層で長い年月をかけて磨かれた、壱岐の豊かな地下水によるものとされています。

麦こうじの焼酎のGI「東京島酒」

伊豆諸島(東京都)⁠の焼酎「東京島酒(とうきょうしまざけ)」⁠は、こうじに麦だけを使うのが決まりです(2024年GI指定)。

麦こうじの香ばしさがあり、麦焼酎のほか、麦こうじで造る芋焼酎もあります。

江戸時代の終わり、薩摩から八丈島に流された商人・丹宗庄右衛門(たんそう しょうえもん)⁠が、島の人々に芋焼酎の造り方を伝えたのが始まりとされています。

麦焼酎の楽しみ方

麦焼酎は、タイプにより、お湯割りや水割りなど、いろいろな飲み方ができます。

  • 軽いタイプ(減圧蒸留):水割り、ロック、炭酸割りで、すっきりと。
  • 香りの豊かなタイプ(常圧蒸留):お湯割りで、麦の香ばしさを。
  • 樽で寝かせたもの:ロックやストレートで、香りをゆっくりと。

飲み方は、焼酎のおいしい飲み方 でくわしくご紹介します。

店では、大分県・長崎県・福岡県をはじめ、いろいろな蔵の麦焼酎をお取り扱いしています。

すっきりしたものから香ばしいものまで、お好みに合わせてお選びします。お気軽にご相談ください。

このページの出典(参考にした資料 13件)

このページは、国や公的機関、業界団体、造り手、研究機関などの資料で確かめたことをもとに、店の言葉でまとめています。リンク先は2026年10月に確かめたもので、その後に移ったり変わったりしていることがあります。外国語の資料もあります。

  1. 酒類総合研究所 情報誌 2021年12月号 特集「焼酎」⁠ nrib.go.jp
  2. 国税庁 地理的表示「壱岐」生産基準 nta.go.jp
  3. 国税庁 地理的表示の一覧 nta.go.jp
  4. 国税庁 地理的表示「東京島酒」生産基準 nta.go.jp
  5. 日本酒造組合中央会「本格焼酎と泡盛ガイド」本格麦焼酎 guide.honkakushochu-awamori.jp
  6. 日本酒造組合中央会「本格焼酎と泡盛ガイド」産地呼称 guide.honkakushochu-awamori.jp
  7. 日本酒造組合中央会「本格焼酎と泡盛ガイド」減圧蒸留と常圧蒸留 guide.honkakushochu-awamori.jp
  8. 特許庁 地域団体商標「大分麦焼酎」「大分むぎ焼酎」⁠ jpo.go.jp
  9. 特許庁 地域団体商標 jpo.go.jp
  10. 大分県 pref.oita.jp
  11. 梶原康博「焼酎用大麦の開発」生物工学 91巻 sbj.or.jp
  12. 農研機構「煌二条」⁠ naro.go.jp
  13. 東京国税局「お酒のはなし 焼酎」⁠ nta.go.jp

20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。
妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は適量を。